コンテンツマーケティングという単語が日本で使われるようになったのは、おそらく2014年後半ごろからでしょう。
初出は2007年4月に設立されたアメリカ企業であるCMI(Content Marketing Institute)が作った造語と言われています。

創世記

コンテンツマーケティングの歴史は意外と古く、1895年にアメリカの農機具メーカーJohn Deere社が発行した雑誌「The Furrow」が最初とされることが多いようです。「The Furrow」は、農作物の育て方や、新技術の紹介などが掲載された農家向けの雑誌で、現在でも世界40ヶ国で発行されています。
「The Furrow」は、いわゆる製品カタログではなく、農家にとって必要な情報を提供する情報誌でした。自社の製品を売り込むのではなく、必要としている情報を提供することでユーザーからの信頼を獲得するスタイルを100年以上前に始めていたのです。

ミシュランガイドの誕生

1900年、フランスのミシュラン社は、車のメンテナンス、宿泊施設の紹介、旅行のヒント等を掲載したガイドブックを発行しました。
発行者であるミシュラン社はタイヤ会社であり、ミシュランガイドによってブランド名を売り込み、タイヤ事業を発展させることが目論みだったとされています。
ミシュランガイドは1920年までは無料配布、今では有料で販売されていますが、その質の高さから全世界で100万部以上を販売する人気のガイドブックとなっています。

P&Gのラジオドラマ

1940〜1950年代に、世界最大の一般消費財メーカーであるP&Gは、当時普及し始めたテレビやラジオに注目しました。
P&Gは、同社の主なターゲットである主婦層のニーズや悩みに合わせたラジオドラマ、テレビドラマを展開したのです。恋愛、家庭、日常生活などをテーマにしたドラマは、ターゲットである主婦層の心を掴むことに成功します。
ドラマの熱心なファンを中心にP&Gというブランド認知にも大きく寄与し、同社に売上増加をもたらしました。

インターネットの登場

1980年代までのコンテンツマーケティングは紙メディアを中心としたものであり、マーケティングコミュニケーションの補完的な存在でした。しかし、1998年のGoogle登場以降、コンテンツマーケティングを取り巻く状況は一変します。検索エンジンの登場によって、ユーザーが自ら必要な情報を求めることが可能になったのです。

また、YouTube、Facebook、Twitterを始めとするSNSにより、拡散という武器を得たコンテンツマーケティングは重要度を増し、強力に見込み客をプルするマーケティング手法へとなっていきました。

まとめ

コンテンツマーケティングを理解する上で重要なポイントは、「ユーザーが欲している情報とは何なのか?」に対して回答できることです。
コンテンツマーケティングは時代に合わせて最適なメディアを選択しているだけで、現在はたまたまSNSやオウンドメディアに相性が良いということなのです。
どのメディアを使うかではなく、ユーザーに何を伝えるかがコンテンツマーケティングの姿勢であり、顧客満足度向上のための普遍的な考え方でしょう。